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コフン

 ここ一年ほどは週4日勤務の資料館の仕事がタイヘンに忙しくなってしまい、週4日の中に8日分くらいの仕事をギュウギュウに押し込めて進行しておりましたところ、反比例的に週4日が1日くらいにアッシュクして感じられ、気が付いたら年が明け桜が散り、楽しみにとっておいたブルボンガトーレーズンが味もわからず食いつくされておりました。
 ちなみに我が家ではガトーレーズンの事を時にダポウレーズンと呼んでおり、これは何かで一時、ハトの言葉を真似して
「できたポゥ。」
「そうだポゥ。」
「ダッポゥ ダッポゥ。」
などと言っていたことから来ているのですが、そんな家庭内言語の語源などすぐ忘れ去られ、忙しい仕事が一段落し、やれやれと戸棚を漁った時に自らの口をついた
「ダポゥが無い」
という一言に
「ダポゥって何だっけ」
と自問する、もはや「何が無いのか何だっけ」という大変に混乱した心境に陥ったことからも、過日の激務が推察されるところであります。

 さてギュウギュウに押し込めて作業していた内容とは、勤務先自治体の歴史を書籍にまとめるお手伝いでありまして、ワタクシはもっぱら考古学の範疇にあたる資料のデータ化、編集などを行っておりました。図がいっぱいあるんで、やることがいっぱいあるんですね。
 毎日そういた資料を見ておりますと、自分が掘り出したわけでもなく、研究者でもない者の目にも、次第に流れのような物が見えてまいりまして、
「もっぱらこの地域はこういう物が当然出るのだな」
とか
「この分野の研究者は、この部分に注目して全体を捉えているんだな」
とかの「素人にちょっと毛が生えた視点」を獲得してまいります。
これが端的に言って、非常に面白いのですね。
第一線の研究者の方々のお話・原稿・作業に無理無理食らいついて行きますと、「ちょっと生えた毛」フル活動にて多少なりとも現在の問題点を共有することができる。楽しい。
 本来はこうした食らいつき方を学生時代にやることが、教師陣に対する最低限の取るべき態度、がんばり所であったと思うのですが、もはや手遅れの数十年前の自分を叱咤したい。大学一年からやり直したい。どうせなら高三の夏に台所でプリンス聞きながら一人で踊ってたら床を踏み抜いた時からやり直したいっ。というかなわぬ焦燥を感じる事ができるなんて学問ってすばらしいですね。

 などと久しぶりにシミジミした日々を送っておりましたら、電子レンジの掃除をしていたはずの妻が「コフン…コフンが…」と何やらブツブツ言っておるのですね。
 何、古墳。古墳がこのあたりにあるはずがない。
 だいたいワタクシの獲得した毛の生えた知識によれば、このあたり崖線沿いは縄文晩期、弥生、古墳時代通じて人々の営みの痕跡がほぼ出ておらず、より南方の多摩川低地にどうたらこうたら…と思いながら台所へ行ってみますと、
190513kohun1.jpg
ありました。コフン。

 表土を剥ぎ取りますと、見事な前方後円墳が。
190513kohun2.jpg
 この墳墓がグルグル回ることにより、黄泉の世界と四世紀の豪族エネルギーが時空を超え、食品を温める仕組みですね。
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樋口です

これは衝撃の回転古墳!もう十数年も電子レンジのない生活をしている私にとって盲点でした。

待てよ、考えてみれば目下の住環境は古墳群に囲まれている。つまり巨大電子レンジに囲まれて料理されているのかっ…あぁ熱いよギギギ…ダポゥダポゥ【以下静寂】
by 樋口です (2019-05-16 13:23) 

カイヤ

過熱せらるる身からはコフン回転は認識できず、ただただ謎のエナジーが増大するのみ… しかも、巨大古墳発祥のマキムク・ハシハカの由緒ある地にとり囲まれ、もはやおいしく出来上がるのを待つのみダポゥダポゥ【以下夕食】
by カイヤ (2019-05-16 19:05) 

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